クーデター下のミャンマーから ― 2021年2月18日

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2021.02.23

※ ミャンマーの続報は、アイクラフトJPN株式会社(弊社グループ会社)のHPにて更新しております。
アイクラフトJPN株式会社のHPは こちら 。

アイクラフトのミャンマーのスタッフから、現地の状況について続報がありました。
報告を原文のまま掲載いたします。


CDM(Civil Disobedience Movement不服従運動)と矛盾

今回のデモ隊の参加者の考えは今の暫定軍政府下の法律に従う必要がないという考えがあり、暫定軍政権は選挙結果を認めずアンサンスーチー氏及びNLD党の方々を大量に拘束しているのだから、自分たちも法律に従う必要はないという理論です。
現在CDM活動が活発になってきている中、矛盾と目に余る行為も目立ってくるようになってきています。
CDM活動は政府機関機能をマヒさせるための方策で、海外において報道されている通り軍隊及び警察の通行を阻止することが主な目的のはずが、目的自体が湾曲され、政府関連施設に従事する人達に仕事に行かないように要請するだけでなく、政府の医療関係者、個人のクリニックなどにもCDM活動を要請(要請に従わなければ、ミャンマー人じゃないと言われる始末)CDM活動を医療機関の従事者か行うことで医療体制が滞り、急病人或いは持病持つ人などはかかりつけの病院で治療が受けられず、軍の病院に駆け込むなどの矛盾が出ています。
勿論政府関係従事者及び一般会社に従事する人達の中にも、デモに参加せず(もう飽きたと言う人もいるみたいですが)会社に行きたい、でも、周りから白い目で見られる、しかし給料をもらえないかもしれない、今日の日当がもらえないなどの問題を抱えている人達も多くなってきて痛し痒しになっています。
こういう人達に対して世界各国の人達が自分たちを応援してくれていて援助してくれる。休業した分のお金は援助寄付で賄えるなどの情報の拡散がされています。
ある芸能人がCDMをもっと全国に広げるように呼び掛けていますが、潤沢な自己資金を持っている人達と日々の生活に苦労する人達と一緒の考えであろうはずはないと思われます。
芸能人数人がストライキを呼びかけたとして現在指名手配されいるようですが、影響力が強いこういう方々の静粛を軍事政権は実行していくことになると思われます。
余談ですが、選挙時に多くの芸能人がNLDを支持し、最初のNLD政権誕生に大きな影響を与えました。NLD政権時に芸能収入に対しての税金支払い法案が可決されたときに、芸能人たちはいっせいに反NLDになり、この政権はおかしいなど文句言っていたのも事実です。この時のNLD政権の対応は元の政権からの引継ぎという対応でした。
国民が異議を唱える法案は、前軍事政権の悪政を理由に国民に説明したことも多々あります

CDMによる交通渋滞と交通違反無視

眼下を見ていると朝の出勤時間帯に道路に多重駐車、故障と称して道路の真ん中に車を停車、信号待ちしていた先頭の車両がわざとノロノロ運転をして、後続車両を通行させないようにする行為に沿道の人達が拍手で声援を送り、先頭の車から運転手が沿道の人達に手を振りヒーロー気分。
案の定片側2車線の道路が塞がってしまい、後続の車の中で反対車線を堂々と走行する車も出現、またヤンゴン市内の主要道路ではバイク通行が禁止されていますが、デモ隊などに従事する人達はバイクを乗り回しています。交通ルールなんか守る必要がないという理論でしょう。

選択肢がない

今回の騒動を体験するにあたり、ミャンマーの若い人達が何を望み、彼らが望む民主化って何?って時々思うことがあります。
自由を求めて戦っていた時代1988年以降の軍事政権の圧政鎖国時代及び2007年のデモ騒動を得て、ようやくアンサンスーチー氏率いるNLD党が民衆によって選択され国会議員の過半数を獲得し与党となったことで、国民が獲得した自由を手放したくないだけなのか、或いは、NLD党の主導によりアンサンスーチー氏を拘束から解放するための運動なのか、等々疑問がわいてきます。
NLD政権下に民主化に向かっていたものを暫定軍事政権で後戻りしてしまう。このことは自分達の自由を奪うものであるという理論かもしれませんが、ここ数年の歴史を振り返りアンサンスーチー氏の政権が独裁政権であったことを理解し、NLD党だけに頼る国政が危険であることを感じている国民は少ないのかもしれません。
勿論軍事政権として力で国民を抑制するのはよくないし、過ちの歴史を繰り返すことには反対です。ただし、NLD党以外に選択肢がないのがこの国の大きな問題でもあると思われます。
選択肢がないため、軍事政権でも、NLD政権でも独裁政権に見えてしまいます。
アンサンスーチー氏の生い立ちなどに関しては省略しますが、アンサンスーチーさんの立場も微妙な立場であったことが見て取れます。
ご存じのようにアンサンスーチー氏の父親アンサン将軍はミャンマー独立に多大な貢献した将軍で、第二次世界大戦中に日本軍で訓練し日本軍との協力の元ミャンマー独立を成し遂げた国父としてミャンマー国民が尊敬する国父と呼ばれる人です。国軍の将軍を父に持つアンサンスーチー氏が反軍事政権党の党首になることはいろいろないきさつがったと思われます。

クーデターは起こるべきして起きていく

今回のクーデターが起きた背景は多々報道されている通りですが、今回の軍のクーデターはすでに5年前にNLD政権が誕生した時に兆候はありました。
2011年のミャンマーはタンシュウェイ元大統領の下、民主化に向けた選挙が行われていくことになりますが、その時の評議会の序列いわゆる軍隊の序列は、第1位タンシュウェイ氏、第2位マンウェイ氏、第3位ウーシュマン氏、第4位テインセイン氏という順位でした。ティンセイン氏は首相の役職でした。
この時のテインセイン政権時にはすでにNLD党としてアンサンスーチー氏なども国会議員として政治に関わっていきますが、軍代表としてウーシュマン氏がこの頃より大統領を目指していました。この時の政権時に政権はアンサンスーチー氏をある委員会委員長として任命し、委員会で国民感情を逆なでるするような決定をしていきます。アンサンスーチー氏は委員長として委員会の決定に従い国民に説明していくのですが、国民としては裏切られた、という感情を持っていました。このことで、アンサンスーチー氏の評判が若干落ちていくことになりますが、これは軍閣僚の思惑だったのでしょう。
ウーシュマン氏はテインセイン氏よりも年は若いのですが、序列は3番目ということもあり、大統領を目指していましたが、タンシュウェイ氏など軍閣僚の反対により、テインセイン氏が大統領となり、下院国会議長などを務めました。
2015年の選挙の時には、ティンセイン氏の大統領任期終了及び政界引退に伴い、前述のウーシューマン氏が台頭し、アンサンスーチー氏などとの密約において密約が行われ、次期政権時(2016年)には軍の党(USDP)とNLDとの連立政権で政権を担うことでで合意し、ウーシューマン氏を大統領とする主要閣僚人事まで内定されていたそうです。しかし選挙投票日数日前にウーシューマン氏があまりにもアンサンスーチー氏と近すぎるということで失脚させられてしまいます。
この連立政権計画には現野党だけでなく少数民族党も若干関わっていました。
この時にNLDが過半数を獲得し連立の必要が無くなったことでいわゆるNLD単独政権、NLDによる独裁政権が始まります。
この時点で連立政権が不可能になったことで、軍はクーデター起こす或いは選挙を認めないなどの強硬手段に出る可能性は十分ありました。
クーデターなど起きなかった理由として、軍の主要閣僚の考えは、政権をアンサンスーチー氏に5年間任せてみて、アンサンスーチー氏の国内外の評判を落とすことで、次の選挙では容易に政権奪取ができると踏んでいました。ロヒンギャ問題も一つです。
国軍としては5年後の情勢を見ていつでも政権は奪還できると踏んでいて、この時点では平和的に民政に移行していったと言われています。
NLD政権の失策の一つとして少数民族との和平締結ができていないことがあげられます。
国軍との連携が取れてなかったことも挙げられますが、これは2015年の選挙時にNLD党が少数民族の選挙区に立候補を立てないという約束を守らず立候補を立て、NLD候補が勝利したことで、少数民族が反NLD政権になったことも大きな要因です。
5年間の失政があるにもかかわらず、国民はNLDを選択し、NLD党が過半数以上を獲得したことで、今後国軍の利益が損なわれる恐れをなしたのは事実だと思いますが、NLDに対抗する党がなかったのも大きな要因です。国民感情として軍事政権を忌み嫌うことから票が殆どNLD票に流れていくのも無理もありません。
NLD政権でも、軍事政権でも外交政策、投資事業政策などを経て国内事業を潤滑にするために経済に力入れていくことになると思われます。
違いがあるとすれば、トップダウンの効果ではないでしょうか?

経済制裁と資金凍結

報道されているアメリカや、イギリス、カナダなどが発表している軍部の人間の資産凍結は今に始まったことではありませんし、軍事政権としてさほど大きな痛手にはなりません、
中國、シンガポールなどに個人資産を含む軍としての資産はたくさん持っているそうです。
実際にNLD政権に移行し、軍部とアンサンスーチー氏の約束では欧米諸国との交渉において、ミャンマーに対する経済制裁解除及び、資金凍結解除も織り込まれていましたが、軍部が資金凍結解除にならないことを理由にアンサンスーチー氏を責めていたそうです。
すでにIMFからコロナ緊急対策緊急融資として1月に約370億円規模の資金を受け取っていますし、合計で約700億円の緊急融資は受けています。
暫定軍政権では中国との関係はもちろん、ASEAN諸国、アジアなどとの連携を重要視していくことと思われます。
既に競争は始まっており、国境を接する各国との交渉は始まり、事業主の目は欧米諸国からこれらの国々に向けられ始めています。