クーデター下のミャンマー ― 2021年2月28日

ニュース

2021.03.04

※ ミャンマーの続報は、アイクラフトJPN株式会社(弊社グループ会社)のHPにて更新しております。
アイクラフトJPN株式会社のHPは こちら 。

アイクラフトのミャンマーのスタッフから、現地の状況について続報がありました。
報告を原文のまま掲載いたします。


現実と噂と希望的観測のはざま(ミャンマービジネスマンの見解)

先日ミャンマービジネス仲間4人と久々に会い、現況の状況など雑談し彼らの考えなどを纏めてみます。
出席者の仕事は、政府建設事業を手掛ける会社社長、ツアー会社社長、ある銀行の頭取の息子、鉱山及び建設会社社長です。
この4人とは度々ビジネス会合の為に以前はよく集まっていましたが、コロナの影響で集まる機会が少なくなり、久々に集まった時の彼らの意見です。
基本彼らは前軍事政権時からNLD政権下で20年以上事業を行っており、海外企業との連携も含めて実績がある方々であり、現状と今までの政権の歴史などを踏まえ事業に限らず現状と希望的観測などを話してくれました。

現状の情勢はいつまで続くのか?

全員同じ意見で更に1-2か月続くとの見解
ただし、軍隊内で暫定軍事政権に対する反対派も存在し軍内クーデターが起こる可能性もあり早期解決されるかもしれない。陸軍、海軍、空軍各将軍がいて、ミンアウンフライン司令長官が軍のトップであり力がある事は確かだが、NLD政権下で軍のトップとして君臨していた間に自分の家族企業を中心に推進してきた事業で約5億ドルの資金を蓄えたともいわれている。今年7月に退役予定だったミンアウンフライン司令長官が政変を起こし暫定軍事政権を樹立し居座ることは、軍と自分の周りの利益確保のために軍内の賛同を得て起こしたことであるとしても、階級序列上位の将軍或いは所属軍隊が反旗を翻し、いつ軍内クーデターが起こってもおかしくない、更に上級階級退役軍人の家族の多くが海外で生活しており、彼らは海外から追い出されるようにミャンマーに帰国している(飛行機会社が臨時便を出し政変後随時近隣諸国からこの家族たちを連れて帰ったとの噂もある)、上級階級退役軍人及び家族たちも今回の政変で悪影響を受けており、上級階級退役軍人が現軍隊に圧力をかける可能性がある。噂ではミンアウンフライン司令官はいつも防弾チョッキを着て行動している。
現暫定軍事政権は一枚岩とは言えないが中国の影響が大きく、UNを含む諸外国がどういう対応するかにもよるが中国の後ろ盾がある間はこのまま推し進めていくと思われ、国民の対応次第では長期化する可能性はある。
最悪の結果として想定されるのが、国民と暫定軍事政権が争う中、軍内クーデターが起こり、ミャンマー軍が弱体化した時、軍隊を持つ部族(ビルマ族以外)が勢力を伸ばし、ミャンマー国は大きな国内紛争が始まる可能性もある。反暫定軍事政権の人達が他の部族にミャンマー軍を攻撃するように交渉しているという恐ろしい噂もある。今までの政権は少数民族と平和交渉を継続しているが、地方での内戦は継続中であり、この機にミャンマー国から少数民族が力で独立していく可能性もある。暫定軍事政権はすぐに少数民族を抱き込む方策を打ち出したのは言うまでもない。暫定軍事政権の力次第で大きく状況は変わってくると思われる。

暫定軍事政権のデモ活動とCDM活動への対応

CDM活動に関しては賛否両論があるとのこと。
暫定軍事政権はデモ活動に関して3週間の猶予を与え、3週間は好きにさせる(その間に政権運営の基盤を作るのであろう、また3月1日に訴追されたスーチー氏の裁判が始まる)。その後に警察、軍隊は法律に違反した人達を拘束していく、或いは暴力行為に対しては武力行使をするとのこと、今後死傷者が増える可能性がある。
また、CDM活動に参加していた政府関係者などには2月分給与として満額の給与が支払われている、ミャンマーでの給与支給は政府機関、軍、殆どの企業が月末日であり2月は26日に支給されている。
CDM活動反対者の話として、政府関係者でCDM活動をしていた人達が、給与を受け取りに出勤しているということを聞いて、自分の意思で仕事をせずにCDM活動してきて、市民に迷惑かけたにもかかわらず、自分の生活のためだとしても、給与支給される時だけ出勤して給料を貰うとは、恥ずかしくないのか?という非難を浴びせている。
政府関係者に通達されているのは3月5日までの猶予を与える、その後CDM参加し仕事に従事しない者には辞職してもらう通達もあっているとのこと。
3月8日以降は政府関係者のCDM活動も減少し、騒動も少し鎮静化される可能性はあるとのこと。
個人企業の場合、オーナーの考えによると思われるが、出勤せずにCDM活動をした人達に満額の給与を支払っていくのか、或いは日数計算にして支給するのか、或いは会社が休業する原因になったということで、給与支給をしない或いは解雇するのかになる。
ある企業がCDM活動に参加した従業員に2月末給与を日数計算(殆ど出勤していない場合)にて支給すると発表したところ、従業員だけではなくCDM活動推進者多数に押しかけられ、企業は自社の従業員がCDM活動しても月給を満額払えといわれたそうで、経営者にとっては理不尽な押し付けをされているとのこと。このことに関しては今後CDM活動者と企業との軋轢を生む可能性がある。

暫定軍事政権時のビジネスに対する考え

ミャンマーは元々軍隊を保持している国であり軍の良し悪しにかかわらず軍と共に成長してきた。ミャンマー人は軍が嫌いなわけではなく、今回の政変を行った現軍隊に怒っていて暫定軍事政権を認めたくない、選挙で選ばれた国会議員で運営する政府であるべきで、国会議員として既に軍は議席を持っているにもかかわらず、選挙において軍の党が少数しか獲得できず、NLD党が議席を過半数獲得し勝利したのは現実であり、今回の政変はNLD党を排除するためのものとしか考えられず、その為に民衆は暫定軍事政府を認めようとしない。軍事政権を好きか嫌いかと言われれば嫌いです。

ただし、昔の軍事政権に戻ることはないと思うが、この流れで行くと暫定軍事政権がこのまま国の政治などを運営していく可能性がある。自分たちはビジネスマンであり政治家ではないので、臨機応変に対応していく必要がある。
時と場合によってはNLD政権下で軍とも親密にしていたし、しなければならなかった。ミャンマーでは軍の有力者との繋がりはいつの時代でも不可欠である。
NLD政権下では民主化及び資本主義を推進する中で、世界に発信するための施策として、軍事政権時の有力者、財閥などを少しずつ排除していった経緯はあるが、NLD 政権支持者には軍事政権時代の有力者に代わることができる有力者が少なく、対抗するまでの能力はなく、軍関係者の力には及ばなかった、退役軍人も含め軍の人達は事業に精通している人材が多いため、軍関係者との連携は必要不可欠なことは今でも変わっていない。

基本NLD政権時でも軍企業、軍の有力者を疎かにはしていなかったので、どの政権になっても大きな影響はないが、自分たちが見ているものと、外国からの見え方は違うと思われる。

外国人(日本人)の拘束の影響

ミャンマー人数人の知人から大丈夫か?との電話、全員の内容は同じで、無事でよかった、拘束されていないよね?大丈夫か?外に出るなよと言われ、なぜ?と聞くと、先程日本人が拘束されたと聞いた、あなたでないかと心配した。
私の安全確認の為に電話してくれたことには本当に感謝です。
ニュースでも騒ぎ始めたころで、私もニュースやインターネットを検索し日本人が拘束されていることを知り、調べていくと何度か挨拶など交わした方であり、結局は解放されたとの報道でまずは一安心。矢張り知り合いが拘束されるとなると身近に感じ心配になります。
ただ、インターネット検索していく上で驚愕したことの一つとして、この方の過去の経歴などがすでに掲載されいたことには驚きました。現代社会の情報取得の安易さなのでしょう。
この日本人が拘束されたのは周りのデモ参加者と一緒に拘束されたとのことで、発表では日本ジャーナリストとは知らずに拘束したがすぐに開放した。とのこと。ジャーナリストと特定し表現しているところが今後大事になっていくと思います。暫定軍事政権は報道を規制することはすでに発表していますので、この方が今後ミャンマーに滞在する上で、或いは今後ジャーナリストの入国なども厳しくされる可能性はあります。

ジャーナリスト或いはこの政変を現地より発信している外国人はより早く、より興味を持ってもらうような記事或いは写真を投稿するために活動されていることは理解できます。ただこのような行動は知名度アップ、収入が関わっているからという、うがった見方しかできません。
インターネット上に書かれていたことの中で、今後軍からのチェックなどがあるかもしれないので情報発信を怖くてできない、というものを見ました。
偏らず客観的な情報発信であれば恐れることはないと思うのですが。何か違和感があるのは私だけでしょうか?

余計なことはしないでほしい

2007年騒動時に日本人のジャーナリストが銃撃により死亡されました。これも痛ましい事件です。この事件に対しては当時ミャンマーにいた人達と外国から見た人たちの意見は真逆でした。
日本を含む外国の方々は日本人ジャーナリストが取材中に銃撃され死亡したのは全て軍事政権のせいにしていました。銃撃して死亡させるのはもちろん悪いことです。

この時に亡くなられた方と一緒に取材をしていた方と話したことがあり、彼も実際にゴム弾を打たれ、まともに心臓部分にあたったそうで、取材している人、カメラ持っている人を狙っていたそうです。
亡くなられた方に向かって、すぐにカメラを捨てて早く逃げるように叫んでいた時に銃撃されたそうで、完璧に狙われていたと話していました。

この事件に関しその当時ミャンマーにいた日本人は、この日本人ジャーナリストは報道のためかもしれないが、余計なことをしてくれた、というのが大半の意見でした。

この事件が理由でミャンマーは危険な国というレッテルが張られ、ミャンマーへの渡航が困難になり、現地日本企業の撤退で仕事がなくなり、日本の家族よりすぐに帰国するように促されるなど、多くの日本人がこの時に日本へ帰国を余儀なくされたのは事実です。

彼の行為は当時の政権では犯してはいけないことでした。
その頃のミャンマーでは要所要所に兵隊が見張りをし、特に軍隊、軍隊施設にカメラを向けることは禁止されており、拘束される可能性は十分あったこと。ジャーナリストの入国審査は厳しく、容易には入国できず、国境を越えて入国する人が多かった時期です。
亡くなられた方はタイから観光として入国して取材していたとして、のちに入国審査が厳しくなりビジネスビザなどが取得しづらくなったのも実情です。

今回の日本人の拘束に関しては即時解放されたことで大きな問題にはならず世界中の報道もその日だけでしたが、聞くところによると別の日本人が当初のデモ参加或いは継続して参加している日本人がいるとのこと、大使館からもデモに近づかないようにお知らせのメールが来ているなか、日本人がデモに参加しているということを大使館も把握しているようです。緊急事態に備えているのでしょう。参加するのは個人の自由ですが周りに迷惑をかけないという日本人的な考えがあれば自粛して欲しいものです。
今回拘束され解放された方はヘルメットと防弾チョッキを着ていたとの情報ですが、なぜわざわざ防弾チョッキを着る必要がある場所に出向き、防弾チョッキを着用し取材に行くという必要性があったのかどうかが非常に疑問です。
我々10年以上ミャンマーに滞在し、この先もずっと住んでいく予定の者から言わせていただければ、今回の政変の報道や情報拡散は自由に自分の感じたこと、見たことを拡散していただいて結構ですが、ここ数年いるだけでの偏った見方、或いは、腰掛程度の考えで、何かあればいつでも外国或いは日本に帰国すればいいと思っている人達の言動がどれだけ今後もミャンマーに滞在する可能性が高い我々に悪影響を及ぼし、迷惑をかける可能性があるかということも考えて行動して欲しいものです。